大相撲中継を見ていると、横綱が敗れた瞬間に観客席から座布団が舞い上がる光景を目にすることがあります。初めて見る人にとっては驚きの光景で、「なぜ座布団を投げるの?」「危なくないの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
この記事では、相撲で座布団を投げる理由や起源、歴史、現在のルールに加え、なぜ今も話題になるのか、さらには有名な座布団事件まで含めて詳しく解説します。
相撲で座布団を投げる理由とは?
相撲で座布団を投げる行為は、観客が興奮や感動を表現するために自然発生的に生まれたものです。特に多いのが、横綱が敗れた瞬間や、格下力士が大金星を挙げた場面です。
横綱は相撲界の象徴ともいえる存在であり、簡単には負けない存在です。その横綱が土俵に敗れるというのは、観客にとって非常にインパクトのある出来事になります。
その驚きや高揚感を、拍手や歓声だけでなく「座布団を投げる」という行動で表現してきたのが始まりだとされています。
つまり、相撲で座布団を投げるのは抗議ではなく、「すごいものを見た」「歴史的瞬間に立ち会った」という感情の爆発であり、長年受け継がれてきた観客ならではのリアクションなのです。
起源と歴史
座布団投げの正確な起源は明確には残っていませんが、少なくとも昭和初期にはすでに行われていたとされています。当時の相撲観戦は、現在よりもはるかに自由な雰囲気があり、観客が感情をストレートに表現する文化が根付いていました。
また、当時の升席は今ほど整備されておらず、座布団も軽量だったため投げやすかったことも背景にあります。
テレビ中継が普及する前は、会場の盛り上がりがそのまま相撲人気につながっており、座布団が宙を舞う様子は「大相撲らしい光景」として受け取られていました。
昭和から平成初期にかけては、横綱が敗れるたびに大量の座布団が舞う場面が見られ、これが大相撲の名物として語り継がれるようになり、観客の記憶にも強く残る象徴的なシーンとなっていきました。
なぜ横綱が負けると座布団が飛ぶのか
相撲で座布団が飛ぶのは、ほぼ例外なく横綱が敗れたときです。これは横綱という地位が、他の力士とはまったく違う重みを持っているからです。
横綱は番付の頂点であり、単に勝ち負けだけで評価される存在ではありません。品格や安定感、圧倒的な強さが求められ、連敗すれば引退の二文字がちらつくほど厳しい立場です。
そんな横綱が敗れる瞬間は、「番狂わせ」であり「歴史的瞬間」でもあります。観客はその衝撃に耐えきれず、思わず座布団を投げてしまうのです。それは挑戦者への称賛であると同時に、相撲という競技そのものに対する高揚感や敬意の表れでもあります。
座布団投げは今も許されているの?
結論から言えば、現在は原則として禁止されています。理由は主に安全面への配慮です。座布団は軽そうに見えても、勢いよく投げられると力士や審判、さらには周囲の観客に当たる危険があります。過去には実際にケガ人が出た例もあり、日本相撲協会は再発防止のため、繰り返し注意喚起を行ってきました。
現在では、取組前後に場内アナウンスで「座布団を投げないでください」と明確に呼びかけられており、悪質な場合や周囲に危険が及ぶと判断された場合には、退場処分となることもあります。
また、テレビ中継でも座布団が舞った瞬間は意図的に映像を切り替えるなどの対応が取られ、過度に煽らないよう視聴者への影響にも配慮されています。
それでも座布団投げがなくならない理由
ルール上は禁止されているにもかかわらず、座布団投げが完全になくならないのには明確な理由があります。それは、相撲という競技が持つ「人の感情を一気に揺さぶる力」が非常に強いからです。
横綱が敗れる瞬間は、何年、時には何十年も語り継がれるほどの出来事になることがあり、その衝撃や高揚感は観客の理性を一瞬で超えてしまいます。
また、長年相撲を見続けてきたファンほど、「座布団を投げる=最大級の称賛」「歴史的瞬間への反応」という感覚が深く染みついており、頭では禁止だと分かっていても、思わず体が反応してしまうことがあります。
これは決して悪意や反発による行為ではなく、長い歴史の中で育まれてきた相撲文化の名残であり、土俵の一瞬に賭ける力士たちへの熱狂と敬意が凝縮された象徴的な行為とも言えるでしょう。
有名な「座布団事件」として語られる場面
相撲ファンの間では、過去に起きた「大量の座布団が舞った一番」が語り草になることがあります。特に横綱が連勝記録を止められた瞬間や、圧倒的に不利と見られていた力士が勝利した一番では、館内が騒然となり、座布団が雨のように降ったこともありました。
こうした場面はニュースや映像でも繰り返し取り上げられ、「伝説の一番」として記憶されることになります。それだけ座布団投げは、相撲のドラマ性や観客の熱狂を象徴する行為だったとも言えるでしょう。今でも語り継がれる名場面として、多くの相撲ファンの記憶に残っています。
相撲観戦を楽しむために知っておきたいこと
現在の相撲観戦では、座布団を投げるよりも拍手や声援で気持ちを表すのが一般的です。特に升席では周囲への配慮が強く求められ、マナーを守って観戦することが大切です。
周囲の観客や力士に配慮しながら楽しむ姿勢が、現代の相撲観戦では重視されています。
ルールや文化を理解したうえで観戦すると、相撲の奥深さや緊張感をより強く感じられるようになります。単なる勝ち負けだけでなく、力士同士の意地や積み重ねてきた歴史、土俵に懸ける思いを味わうことが、相撲観戦の醍醐味です。
まとめ
相撲で座布団を投げる理由は、横綱が敗れたときなどの驚きや感動を表現するために生まれた、歴史ある文化です。
かつては大相撲の名物とも言われていましたが、現在では安全面の観点から原則禁止となっています。それでもなお座布団投げが語り継がれるのは、それだけ相撲が人の心を強く動かす競技だからでしょう。
相撲を観戦する際は、こうした背景を知ったうえで、現代のマナーを守りながら楽しむことで、より深く相撲の魅力を味わうことができるはずです。