大相撲の世界に憧れ、力士を目指したいと考えたとき、最初に通過しなければならないのが「新弟子検査」です。プロの土俵に上がるための第一歩となるこの検査には、身体条件や年齢などの厳格なルールが存在します。本記事では、新弟子検査の実施時期や具体的な制限、入門までの流れを分かりやすく解説します。
新弟子検査が実施されるタイミング
力士としての第一歩を踏み出す新弟子検査は、いつでも受けられるわけではありません。本場所の開催に合わせて年間でスケジュールが組まれています。
本場所の直前に年6回開催
新弟子検査は、基本的に1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回、各本場所が始まる直前に実施されます。受検を希望する方は、自分がどの場所で初土俵を踏みたいかを逆算して準備を進める必要があります。特に3月場所は中学や高校の卒業見込み者が多く集まるため、受検人数が最も多くなる傾向にありますね。
検査会場となる場所
検査が行われる場所は、本場所の開催地に準じて決定されます。東京で開催される1月・5月・9月場所の際は両国国技館で実施され、地方場所となる3月(大阪)、7月(名古屋)、11月(福岡)はその各都市の会場となります。遠方から受検する場合は移動手段や宿泊の確保も必要になるため、相撲部屋の親方と相談しながら余裕を持って計画を立てましょう。
新弟子検査の受検資格と身体制限
プロの力士として土俵に上がるためには、日本相撲協会が定める一定の基準をクリアしなければなりません。以前よりも門戸は広がっていますが、現在も基本となるルールが存在します。
年齢制限のルール
受検できる年齢は、原則として義務教育を修了した15歳以上から23歳未満までと定められています。ただし、アマチュア相撲で一定の実績を挙げた「幕下付出し」や「三段目付出し」の資格を持つ場合に限り、25歳未満まで延長が認められる仕組みです。若いうちから相撲部屋に入門し、心身を鍛えることが推奨されている世界であるため、年齢制限は非常に重要な基準となります。
身長と体重の基準
力士は体が資本とされるため、身体計測においても基準値が設けられています。以前は厳しい身長制限がありましたが、現在は多くの若者にチャンスを与えるため、基準が大幅に緩和されました。
| 項目 | 一般受検者の基準 |
| 身長 | 167cm以上 |
| 体重 | 67kg以上 |
| 第2検査(例外) | 身長160cm・体重67kg以上 |
第2検査の適用条件
基準にわずかに届かない場合でも、運動能力が極めて優れていると判断されれば「第2検査」での合格が可能です。これには背筋力やハンドボール投げ、反復横跳びといった運動能力テストが課され、身体の小ささを技術や身体能力でカバーできるかが問われます。体格に自信がなくても、相撲への情熱と類まれな運動神経があれば、プロへの道が閉ざされることはありません。
入門から受検までの具体的なステップ
新弟子検査を受けるためには、個人で申し込むのではなく、まずは相撲部屋に所属する必要があります。入門から合格までの流れを確認しておきましょう。
相撲部屋への入門と師匠の承認
最初に行うべきは、自分が入門したい相撲部屋を見つけ、師匠である親方に入門の意志を伝えることです。親方は受検者の身元引受人となるため、親方との信頼関係がなければ検査に進むことはできません。現在は各部屋のウェブサイトやSNS、知人の紹介などでコンタクトを取るケースが増えています。
提出書類の準備
受検にあたっては、履歴書や健康診断書、住民票、そして親方を通じて提出する「入門願」などの書類が必要になります。これらの書類は、相撲協会の事務局へ指定の期日までに提出しなければなりません。書類の不備があると検査を受けられない可能性があるため、部屋のマネージャーや親方と協力して丁寧に準備を進めてください。
新弟子検査の内容と合格後の流れ
検査当日は、体格検査以外にも内科的なチェックが行われ、合格が確定した後は、すぐにプロとしての生活が始まります。
当日の健康診断と適性判断
新弟子検査では身長・体重の計測だけでなく、医師による健康診断も実施されます。心臓や肺の機能に異常がないか、激しい稽古に耐えられる健康な体であるかが厳格にチェックされるのです。また、公的な身分証明書による本人確認も行われ、すべての項目において相撲協会の基準を満たしているかが最終判断されます。
合格発表と前相撲
検査の結果は、通常その日のうち、あるいは数日以内に親方を通じて知らされます。無事に合格すると、その本場所中に「前相撲(まえずもう)」と呼ばれる、新弟子同士の取組が行われます。ここでプロとしての白星を挙げ、土俵の感覚を身につけることが初土俵への第一歩となるのです。
相撲教習所での生活
合格した新弟子は、約半年間にわたって「相撲教習所」へ通う義務があります。ここでは実技としての稽古だけでなく、相撲の歴史や書道、詩吟、さらには医学的な知識なども学び、力士としての技術だけでなく、一人の人間としての教養や礼儀作法を身につける大切な期間となります。
夢を実現するための心構えと準備
新弟子検査を突破することはゴールではなく、あくまで厳しい勝負の世界へのスタートラインに立ったに過ぎません。
精神面の鍛錬
入門すると、これまでの学生生活とは一変した集団生活が始まります。早朝からの稽古や部屋の雑用、独特の上下関係など、精神的な強さが求められる場面が数多く存在します。検査を受ける前に、相撲に対する覚悟をしっかりと固めておくことが、長く現役を続けるための最大の秘訣と言えるでしょう。
食生活と体作り
検査の基準を満たすためだけでなく、入門後の激しい稽古に耐えるためにも、事前の体作りは欠かせません。バランスの良い食事を心がけ、基礎体力を向上させておくことで、入門後の怪我のリスクを減らすことができます。特に足腰の柔軟性は相撲において最も重要視されるため、日頃からストレッチや四股の基本を意識しておくと良いですね。
まとめ
新弟子検査は、年6回の本場所前に実施される、力士への登竜門です。15歳以上23歳未満という年齢制限や、身長167cm、体重67kgといった基準がありますが、第2検査のような救済措置も用意されています。まずは信頼できる相撲部屋を見つけ、親方の指導のもとで着実に準備を進めることが合格への近道です。