相撲中継を見ていると、土俵のすぐそばに「あれ、またこの人いる…」と思う顔がありませんか。豪華な着物姿でいつも同じ席に座っている女性や、端正な洋装でじっと観戦しているおばさん。気になって画面から目が離せなくなった経験、きっと一度はあるはずです。
今回は、相撲にいつもいるおばさんたちの正体について調べてみました。なかなか情報が出てこないからこそ、余計に謎めいて見える彼女たちの背景に迫っていきます。
そもそも溜席ってどんな席なの?
「いつもいるおばさん」たちが座っている場所は、ほぼ間違いなく溜席(たまりせき)と呼ばれるエリアです。土俵を囲む最前列のこの席は、座布団に直接座るスタイルで、力士の息づかいまで聞こえそうなほど近い場所にあります。
溜席は一般の人でも座れるの?
結論から言うと、非常に難しいです。
溜席全体は約500席あると言われていますが、そのうちおよそ300席が「維持員」と呼ばれる特別会員のために確保されています。残り約200席が一般向けに解放されるものの、ほとんどが抽選制。しかも席の指定はできません。
つまり、毎場所・毎日同じ場所に座っている人が一般客である可能性は、ほぼないと考えてよいでしょう。
相撲にいつもいるおばさんの正体は?
では、あのおばさんたちは一体何者なのか。
もっとも有力な答えが「維持員」です。維持員とは、日本相撲協会に対して多額の寄付を行い、その対価として特別な観戦権を持つ会員のこと。個人でも法人でもなれますが、入会のハードルはかなり高め。
維持員になるにはどのくらいのお金がかかるの?
場所によって金額は異なりますが、東京(国技館)で維持員になるには、3年間で最低でも約400万円以上の寄付が必要とされています。大阪・名古屋・福岡の地方場所ではそれよりは安くなるものの、それでも3年間で100万円を超えるレベルです。
維持員になると、15日間すべての本場所で溜席に座る権利が与えられます。毎回あの場所にいる理由は、まさにここにあるわけです。
また、維持員は「代理人」を立てることもできます。本人が来られない日は、指名した代理人が代わりに観戦に行くことが認められています。そのため、同じ席に毎日いる人が必ずしも維持員本人とは限らないのも、ちょっと面白いところです。
着物姿のおばさんが特に目立つ理由
相撲にいつもいるおばさんのなかでも、とくに注目を集めているのが着物姿の女性たちです。
溜席は飲食・撮影・携帯電話の使用がすべて禁止されており、観戦マナーが厳しく求められる特別なエリア。そのなかで背筋をピンと伸ばし、美しい着物をまとって静かに観戦している姿は、自然と目を引きます。
毎日違う着物を着てくる女性がいる?
実際、着物美人として話題になった女性の観戦スタイルとして、15日間毎日異なる着物を着てくるというこだわりが広く知られています。しかもその着物のセンスが非常に高く、力士が白星を目指すのに合わせて白を基調とした色使いを選ぶこともあるとか。
こうした細かな演出が、単なる「熱心な相撲ファン」を超えた存在感を生み出しているのでしょう。テレビ画面越しでも印象に残るのは、そういう理由があるからかもしれませんね。
「溜席の妖精」や「白鷺の姉御」という名物観客も
相撲にいつもいるおばさんとして話題になった人物は、着物美人だけではありません。相撲ファンの間ではいくつかの「名物観客」が語り継がれています。
溜席の妖精
2020年頃から突然現れたワンピース姿の若い女性で、「溜席の妖精」という愛称で親しまれています。毎回正座で背筋を伸ばし、横綱の取り組みが終わるまでの約4時間、姿勢を崩さず観戦し続けるその姿が「妖精みたい」と話題になりました。
拍手のタイミングや仕草の上品さも印象的で、力士だけでなく観客にも目が向くようになったきっかけのひとりとも言えます。
白鷺の姉御
名古屋場所を中心に注目されているのが「白鷺の姉御」と呼ばれる着物美人です。TBSの安住紳一郎アナウンサーが命名したとされており、名古屋の老舗精肉店との関わりがあるとも言われています。毎年その凛とした着物姿が話題になり、「白鷺の姉御が来ていると名古屋場所らしい」と感じるファンも多いようです。
金ぴかおじさんもいた!ユニークな名物観客たち
少し話は変わりますが、「いつもいるおばさん」と同様に話題になった名物観客として「金ぴかおじさん」も外せません。2021年1月場所で金色のラメ衣装で溜席に登場し、その正体は高須クリニックの院長でした。豊昇龍や錦木のタニマチとしても知られており、相撲界とのつながりは深いようです。
観客に個性的な人が多いのも、相撲という場の独特の文化を象徴している気がします。
維持員でなくても溜席で観戦する方法はある?
「じゃあ、一般人には縁のない話なの?」と思うかもしれませんが、まったくそんなことはありません。
日本相撲協会が運営する「大相撲ファンクラブ」では、会員ランクに応じてチケット先行抽選などの特典が用意されています。
| 会員ランク | 年会費(税込) |
| 横綱 | 330,000円 |
| 大関 | 110,000円 |
| 関脇 | 33,000円 |
| 小結 | 6,600円 |
| 幕内 | 550円 |
上位ランクに入会すれば、一般販売よりも先に溜席の抽選に参加できるチャンスが生まれます。確実ではありませんが、維持員になるよりはハードルがずっと低いです。
溜席の観戦料は1席あたり約20,000円。15日間通えば30万円になる計算です。それでも行きたいと思えるほど、あの席からの景色は特別なものなのでしょう。
相撲にいつもいるおばさんを見ながら楽しむ相撲観戦
力士の取り組みはもちろん最高の見どころですが、溜席の観客たちに目を向けるのも、相撲中継のひとつの楽しみ方です。
相撲にいつもいるおばさんたちは、ただのお金持ちというわけではなく、相撲文化を長年にわたって支えてきた縁の下の力持ち的存在。着物への強いこだわり、姿勢の美しさ、そして場の空気を読んだ所作…。どれも一朝一夕では身につかないものばかりです。
次に相撲中継を見るときは、土俵上の熱戦と並んで、あの前列にどんな顔ぶれが揃っているかにも少し注目してみてください。きっといつもとは違う角度から相撲が楽しめるはずです。
まとめ
溜席でいつも観戦している「おばさん」たちの正体は、維持員またはその代理人である可能性が高いことがわかりました。維持員は相撲協会への多額の寄付と引き換えに、15日間の溜席観戦権を得ている特別な存在です。着物美人・溜席の妖精・白鷺の姉御など、それぞれに独自の存在感を放つ名物観客たちは、長年にわたって相撲界を支えてきた人々でもあります。一般の方でも「大相撲ファンクラブ」を活用することで、溜席を狙えるチャンスがあるので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
相撲の魅力は、土俵の中だけにあるわけではない。そう気づかせてくれるのが、溜席で静かに観戦するあのおばさんたちの存在なのかもしれません。