この記事では、モンゴル相撲について解説します。相撲といえば日本の国技として知られていますが、みなさんはモンゴル相撲という競技をご存知ですか?日本の大相撲にもモンゴル出身の力士がいますが、実は彼らの祖国モンゴルにも、相撲という競技があるんです。しかも、日本の相撲とはルールも知名度も大違い。一体どんな違いがあって、なぜモンゴル力士は日本で相撲をしているのでしょうか?気になるモンゴル相撲のあれこれを一気に見ていきましょう!
モンゴル相撲とは
モンゴル相撲はモンゴル語で「ブフ」または「パリルドホ」と呼ばれています。各集落から代表選手が出て、集落対抗の団体と個人の優勝戦があり、真剣に争われる競技なんです。日本では相撲と似ていることから、モンゴル相撲や蒙古相撲(もうこずもう)とも呼ばれていますよ。土俵がなく、肘や膝などが地面につくと負けとなるルールがあります。
起源
起源は数千年前にさかのぼるとされ、古代モンゴルの戦士たちが訓練の一環として行っていたと考えられています。モンゴル国では建国の祭典であるナーダムが1921年から開催されており、その中心種目の一つとしてブフが行われてきました。内モンゴルでも1948年から実施され、1978年以降は近代スポーツ化を目的としたルール改革が進み、1999年には賞金制度も導入されています。現在は神事的な儀式性を残しながらもプロスポーツ化が進んでおり、この点は日本の大相撲と共通する部分があります。
日本相撲とのルールの違い
モンゴル相撲は、日本相撲とどう違うのでしょうか?同じ「相撲」という競技でも、見ていると大きく違う点がありました。モンゴル相撲はモンゴルの国技ですから、日本の相撲と違ってモンゴル特有の歴史や国民性を感じることができますよ。相撲観戦が好きな人は、きっとモンゴル相撲にも興味を持てることでしょう。決定的な違いを見てみましょう。
勝敗の決め方
最大の違いは勝敗の判定基準にあります。モンゴル国系の「ハルハ・ブフ」では、肘・膝・頭・背中・尻のいずれかが先に地面についた時点で負けとなります。日本の相撲とは異なり、手のひらが地面についただけでは負けにならない点が特徴です。日本相撲では手のひらが土俵についた瞬間に決着がつくため、ここは大きな違いといえますね。一方、内モンゴル系の「ウジュムチン・ブフ」では、足の裏以外の部位が地面についた時点で負けとなり、手による足への攻撃は禁止されています。
土俵・衣装・時間制限
日本の相撲のような円形の土俵は存在しません。内モンゴルのウジュムチン・ブフでも同様に土俵はなく、1組の取り組みに1人の行司にあたる「ヒャナグチ」がつく形式が取られています。衣装も日本の廻しとは異なり、袖なしのジャケット「ズォドグ」、短いズボン「シュド」、革製のブーツ「ガットゥグ」などの伝統衣装を身につけて取り組みます。さらに競技時間には制限がなく、決着がつくまで続けられる点も、時間の区切りがある日本相撲との違いでしょう。
なぜモンゴルは相撲が強いのか
モンゴルといえば、強い力士が多いことでも知られていますよね。日本でも活躍した白鵬や朝青龍なども、モンゴル力士としての代表格です。モンゴル出身の力士は歴史上の背景から、1990年まで日本との交流が限られていて、日本で相撲ができませんでした。1992年、先代の大島親方がモンゴルで新弟子を募集したところ160名もの応募があったそう。その中から選ばれた6名が初土俵を踏んでいるんです。では、なぜモンゴル力士たちが強いのか見てみましょう。
競技人口の裾野の厚さ
強さの背景として、まず挙げられるのが競技人口の差です。モンゴルの相撲競技人口は、人口約300万人に対しておよそ6000人とされています。一方、日本はプロの大相撲が約600人、アマチュアの小中高大を合わせても3000人ほどで、モンゴルの数には届きません。人口規模に対する競技人口の割合が非常に高く、幼少期からブフに親しむ子どもが多いことが、力士としての土台を形成していると考えられますね。
外国人枠による選抜の厳しさ
大相撲では、外国出身力士は1部屋につき1人という制限があります。そのため、モンゴル出身の力士は部屋に所属すること自体が狭き門となり、各部屋も限られた1枠を慎重に選ぶことになります。結果として、その枠を勝ち取る新弟子は総じて能力の高い人材になりやすいのでしょう。1992年に元関脇・旭天鵬や元小結・旭鷲山ら先駆者が来日して以来、モンゴル出身力士が角界を席巻するようになったという経緯もあります。
参考:岡メディカル整骨院
ハングリー精神と実績
モンゴル出身力士の多くは、何としても強くなって大金を稼ぎ、故郷の両親を楽にさせたいという強い動機を持って入門するともいわれています。稽古にも真剣に取り組み、上位進出のための工夫を熱心に研究する傾向があるといわれています。実績としても、モンゴル出身で大関以上に昇進した力士は7名おり、現役を除く6名はいずれも横綱まで昇り詰めていますよね。朝青龍・白鵬・日馬富士・鶴竜など複数の横綱を輩出してきたことが、その強さを裏付けています。
経済格差が生む「ジャパニーズドリーム」
モンゴル力士が強い理由の一つは、経済的な魅力の大きさです。モンゴルの平均月収は日本円で数万円程度とされる一方、大相撲で横綱まで昇り詰めれば年収は2億円を超えるといわれています。この圧倒的な収入格差が、モンゴルの若者たちにとって大相撲を「一攫千金」を実現できる場所として知られているのでしょう。実際に、モンゴル人力士の多くは故郷で暮らす家族を楽にさせたいという思いを原動力に日本を目指しており、経済的な動機が渡航の大きな後押しになっているのですね。
日本で活動すれば名誉を得られる
モンゴル国内のブフは「国民的スポーツ」として高い人気を誇るものの、大相撲ほどの巨大な興行規模や賞金体系はまだ確立されていないそうです。プロ化やリーグ化は進んでいるものの、経済規模で見れば日本の大相撲とは大きな差があります。そのため、真に大きな成功と富、そして国際的な名声を求める実力者にとっては、祖国のブフにとどまるよりも、日本の大相撲という舞台に挑戦する方が魅力的な選択肢になっているのでしょう。
まとめ
モンゴル相撲のルールや日本の相撲との違いについて解説しました。日本にはモンゴル出身の力士が多くいますが、さまざまな理由があり日本の大相撲で活動していることも分かりましたね。日本で富を得たモンゴル出身の力士たちは、祖国の家族に豊かな暮らしをさせるという夢も叶い、それがまたモンゴルでレジェンド的に言い伝えられているのかもしれません。大相撲に興味がある人は、モンゴル相撲についても知る機会があると面白いかもしれません。