第72代横綱の稀勢の里さんが親方を務める相撲部屋・二所ノ関部屋。そこに所属している大の里泰輝さんは2023年に初土俵を経験して以降、怒涛の快進撃を続け、2025年に史上最速で横綱昇進が決定しました。日本人力士の中でも特に人気が高く、角界の期待の新星と目されている1人です。
そこで今回は、大の里泰輝さんの出身大学・高校や実家について詳しく調査しました。
大の里の出身高校は?
大の里(本名:中村泰輝)さんの出身高校は、新潟県立海洋高等学校。新潟県内で唯一、水産と海洋関連の教育に力を注いでいる学校です。海のプロの育成を目的としているため、文武両道が基本。2025年度時点の偏差値は39です。
同高の相撲部は、約125年の歴史と伝統があり、全国優勝を25回ほど成し遂げている強豪チーム。例年、強豪と謳われる大学に特待生枠で進学する卒業生が多く、過去に10人以上が角界に挑戦しています。もともと石川県出身の大の里さんは、どのような縁で同高に通い始めたのでしょうか。
監督の自宅兼寮で集団生活
大の里さんは中学時代に新潟県内に相撲留学し、力士の指導者として有名な田海哲也さんに弟子入り。田海さんが新潟県立海洋高等学校相撲部の総監督を務めていたため、大の里さんは同高への進学を決めたようです。
大の里さんが高校時代に生活の拠点としていた場所は、田海さんとその妻・恵津子さんの自宅兼寮。かつて夫婦が経営していた民宿・かにや旅館の設備をいかし、全国から集まった相撲少年を受け入れていました。大の里さんら相撲部員は6時に起床し、寮内の清掃から1日がスタート。放課後には4時間ほど稽古に精を出していました。
稽古に全集中
高校相撲部の稽古は、下半身に負荷のかかる基礎トレーニングが重点的に行われ、時に田海さんの檄が飛ぶことも。私立高校のように練習時間を十分に確保できないぶん、部員1人1人が私語を口にする隙がないほど集中していました。稽古後は、学校から寮まで約2.5キロの道のりを走って帰宅。食事も体を鍛える上で重要なため、1日あたり5回ほど食事をとり、ご飯を6合ほど平らげていました。
食事面に関しては寮母である恵津子さんが全力でサポート。栄養士と調理師の免許を持つ強みをいかし、栄養満点の手料理を振る舞っていました。
高校1年生から相撲部のエース
高校1年生の時点で大の里さんは同級生と比べるとひときわ体が大きく、身長およそ189センチ、体重およそ150キロ。すでに、名力士を彷彿とさせる均整のとれた体躯でした。才能も実績も十分だったことから1年生にして相撲部のエースを務め、インターハイで準優勝するなど輝かしい成績をおさめていました。
中学と高校の6年間は、時間厳守の寮生活と妥協が許されない稽古によって、大の里さんの土台を形成する貴重な期間でした。しかし2度と戻りたくないと思うほど過酷だったそうです。
大の里の出身大学は日本体育大学
大の里さんの高校卒業後の進学先は、レジェンドと呼ばれるアスリートを数多く輩出している日本体育大学。同大学の相撲部は、大正時代に創設され、学生選手権の団体部門で通算7度の優勝を果たしている名門チームです。大の里さんは大学1年次から相撲部のレギュラーに抜擢され、国体青年の部で個人優勝し、全国学生相撲選手権大会を制覇。学生横綱となりました。
アマ横綱を2年連続獲得
1年次に一躍有名になったものの、ライバルに研究されてしまい、2年次は無冠でした。しかしスランプに陥ることはなく、肉体の強化に没頭。大の里さん自ら大学外でトレーナーを探し、食事面も見直しました。その結果、2年連続でアマチュア横綱の名誉を獲得すると共に、4年次にはワールドゲームズの無差別級で優勝。さらに大相撲の幕下10枚目となる資格を取得したのです。
謙虚な姿勢
異例のスピードで出世し、二所ノ関部屋への入門が決まった大の里さん。優秀な戦績を残していたため、大学1年次から部内での雑用を免除されていました。しかし決して傲慢な態度をとることはなく、清掃に励んでいる部員に差し入れを渡して「申し訳ない」と声をかけるなど、気遣いを忘れませんでした。
また、相撲の取り組み方を的確にアドバイスする機会も度々あったのだとか。相撲部の同期だった寺尾拓真さんは、大の里さんの姿に感銘を受け、彼の母校である新潟県立海洋高等学校相撲部のコーチに就任したそうです。
大の里の実家は銭湯?
結論から申し上げますと、大の里さんの実家は銭湯ではありません。大の里さんと同郷である大相撲力士・欧勝海さんの実家が銭湯「やたの湯」を営んでいます。
「やたの湯」は、俱利伽羅峠の源平合戦で敗走した平家軍が発見して傷を癒した湯治場が起源。刺激の少ない冷鉱泉が約40度まで温めて使われており、湿疹など肌荒れの症状を緩和する効果があるらしいです。温泉に浸かった後は、併設されている飲食店で猪鍋やノドグロの塩焼きなど、地元グルメを満喫できます。アットホームな雰囲気が好評をはくし、多くの常連客に親しまれています。
大の里の家族構成
2025年6月時点で判明している大の里さんの家族は、父親と母親、妹の3人です。2024年に大の里さんが大相撲夏場所で幕内初優勝を成し遂げた際には、3人が両国国技館に駆けつけました。さらに家族4人で喜びを分かち合う姿が公開され、仲睦まじい様子が話題に。大の里さんの活躍に伴って家族も注目されていますが、それぞれどのような人物なのでしょうか。
父親
大の里さんの父親である中村知幸さんは、身長およそ184センチ、体重およそ125キロ。息子の大の里さんと同じく、がっちりとした体格です。若い頃には相撲の道を志し、石川県代表に抜擢されて国体など数多くの大会に出場。社会人時代に全国大会で優勝した経験もあり、力士として優れた才能と技量を持っていました。
現役引退後は長距離ドライバーの仕事をしながら、津幡町の少年相撲教室で指導者としての才能を発揮。そんな父の背中を追いかけるように大の里さんは小学1年生の頃に相撲を始め、親子二人三脚で角界の頂点を目指したそうです。
母親
母親である中村朋子さんは身長およそ165センチ。職業など詳細な情報が明かされていないため、専業主婦ではないかと推測されています。とはいえ2人の子供を立派に育て上げるために、家計をやり繰りしたり、食事を工夫したり、陰ながら支えていたのではないでしょうか。
大の里さんが角界に飛び込んで以降は、取り組みを見ていると気分が悪くなるそうです。勝負の結果はもちろんのこと、命にかかわる大けがをするのではないかと、気苦労が絶えないのかもしれません。
妹
妹の中村葵さんは、大の里さんよりも4歳ほど年下で、身長およそ170センチ。2025年の春に大学3年生になった現役女子大生です。黒髪のロングヘアと、目鼻立ちのくっきりとした容姿が印象的なため、「読者モデルのように可愛い」とネット上で話題になっています。
いつでも優しい大の里さんを慕っており、ほぼ毎場所、両親と一緒に観戦。大関昇進披露宴には、藍色の振り袖姿で出席していました。
まとめ
大の里さんは日本体育大学を卒業した後、角界デビュー。十両昇進時に貰った給料を使って差し入れ用のブランド米を1トン購入、貸し切りした焼肉店に後輩部員を招待するなど、たびたび恩返ししています。どれだけ力士として強くなっても古くからの縁を大切にしているため、幅広い年齢層に大人気です。今後の躍進も楽しみですね。